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本『わすれられない満州』岩田桂子 絵 古知屋恵子 編 井嶋穂実

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93歳の方から、遺言を受け取った。

そのタイトルには、『わすれらなない満州』とあった。

1932年(昭和7年)生まれ、93歳でこの本を書くに至った経緯は、この書で絵を担当する版画家の古知屋恵子さんと、編集を手がけた井嶋穂実さんとの出逢があったからだ。

著者である岩田さんの講演会での出逢いを皮切りに、その後、幾度となく話を伺う機会を設け、長野にある満州開拓平和記念館へ一緒に訪れたりもしたそうだ。

高市政権となり、国旗や国歌、愛国心を強制させようとする動きが強まる今、個人の自由を奪っていく戦前のような雰囲氣を感じ、戦争体験者の「生の声」を残し、事実を消し去ってはならないと、加害の歴史ときちんと向き合うことがなければ、また同じ過ちを繰り返してしまうと、あわてて満州で起きたことを絵本に残した。

5歳から13歳まで、海を渡り、暮らした、満州国。

1937年から敗戦翌年の1946年の9年間、そこで岩田さんが見たものは、見紛うことなき日本による侵略であり、心に深い傷を負うこととなった。

同じ日本人が、どうしたらこんなにも残虐卑劣な存在へとなってしまうのか。(それは、戦時下だったから。そんな環境に置かれたのもまた不遇だったと言ってしまうことも加害性を許してしまう発言になりかねない)
日本人の少女にやさしかったのは同じ日本人ではなく、朝鮮人や中国人であったというエピソードにも胸が熱くなる。

あったことがなかっとことにならないように、この遺言を、あなたへ手渡す。

目を背けたくなるような体験の数々だけれども、古知屋さんのあたたかでやさしく力強い画が、当時の悲惨さをオブラートで包んでくれているので(目を背けてはならない真実ではあるが)、子どもも安心して読むことができる。

本来の「平和教育」とは、加害の歴史も然り、被害を受けた側の視点も同時に学ばなくては、その本質を見失う。

被害者意識が勝ると、「繰り返さない」と言わねばならぬところを、「繰り返させない」などといってしまうのではあるまいか。

体験を話し、この本を作ることで、長い間苦しんだ不眠症(PTSD)が治り、睡眠薬なしに眠れるようになった。

「戦争体験者の生の声」というバトンを受け取った。次に店主がすることは、この過ちを二度と「繰り返さない」ように、多くの人へこの絵本を届けることだ。躊躇なくバトンを受け取ってほしい。

#わすれられない満州
#岩田桂子
#古知屋恵子
#井嶋穂実

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