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本『R・E・S・P・E・C・T』ブレイディみかこ

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「退去せよ！」

2012年7月東京都から一方的な「移転のお願い」が届いたのは、国立競技場に隣接し、住民平均年齢65歳以上の高齢者団地都営霞ヶ丘アパート。2020年東京オリンピックの開催決定により移転を強いられた。

時を同じくして英国(2012年ロンドンオリンピック後)

2013年ロンドン東部ホームレスシェルターに住んでいた若きシングルマザーたちが、区の予算削減でシェルター運営が困難になったから「出ていけ！」と通告された。

世界を見渡してみても、やっていることは「上」の利権のために「下」が被害を被るのだ、いつだって。

都市において、低所得の人々が住んでいた地域が再開発され、お洒落で小ぎれいな町に生まれ変わり「都市の高級化」が進み、住宅価格や家賃の高騰を招き、もとから住んでいた貧しい人々の追い出しに繋がるジェントリフィケーション。

行き場を失うシングルマザーたち、反ジェントリフィケーション運動の関係者たちが指導したFOCUS E15運動と、同運動が2014年に行ったカーペンターズ公営住宅地の空家占拠・解放活動に著者はおおいに感銘を受け、彼女たちが成し遂げた底辺の叫びをいまだ知らない日本の読者たちにフィクションとして本書をぶち投げた。

著者(パンク母ちゃん)のファンでもある店主(パンク母ちゃん)は、勝手にシンパシーを感じつつ著作を読み漁っているので、ぶち投げられればそれをがしっと掴んで離さない。『ジンセイハ、オンガクデアル』で英国のワーキングクラス(アンダークラス)の下層の女たちに触れていたことを頭の片隅に覚えており、この度がさごそと本棚から発掘し再読。

「英国社会の出来事が、今の壊れた日本を予見する。」

と言うのは同著の『オンガクハ、セイジデアル』の帯の文言だが、まさにこれ。

オリンピック(それだけに限らず、資本主義「金持ちのためのディズニーランド」とは言い得て妙)が何をもたらすのか、もたらしていったのか、スポーツの感動を盾に人間の尊厳が蔑ろにされていいわけがないのだ。

誰しもがアクティヴィスト(能動的行動者＝自らがやる)になるべきなんだ。政治に無関心でも無関係ではいられないのだから。

腹から出せ、ギリギリの声を、ないものにされてしまう前に！

パンも薔薇も、少しばかりのリスペクトも、全部よこせ！！！

【タイトル、著者】『R・E・S・P・E・C・T』ブレイディみかこ

【出版社】筑摩書房

【出版日】2023/8/5

【税込価格】¥1,595

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