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本『なんかいやな感じ』武田砂鉄

¥1,760 税込

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なんと言ったらいいものか、もやもやと立ちこめる暗雲に恐れをなす、手に刺さった目に見えないほどの棘が地味に痛く何をしていても気になって仕方がないなどといった感覚に似ている。

おやと思いタイトルを見れば、閉塞感をあらわにした「なんかいやな感じ」と物語る。

そう、この書は、なんとも言えないなんかいやな感じそのものなのだ。違和感しかない、漠然としていて表現することが難しい「いやな感じ」の感覚だけをもぎ取り、つらつらと綴る。

著者の記憶は幾重にも社会の問題へと連なり、曖昧模糊とした感覚のピースをこねくり回し、ぴょんぴょんと時空を行きつ戻りつ思考する平成史。

暗い影が付きまとうのは、平成という時代がそうさせたのか、出口の見えない不況経済(社会)がそうさせたのか、はたまた著者の感覚がそうさせるのか。とにもかくにも、なんかいやな感じの書なのでる。

時には目を背けたくなりような問題にも臆することなく、その漠然とした感覚を直視し、対峙するその姿勢というか眼差しは、どこか希望を孕んだ「なんかいい感じ」なのである。

【タイトル、著者】『なんかいやな感じ』武田砂鉄

【出版社】講談社

【出版日】2023/9/26

【税込価格】¥1,760

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