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本『ハンチバック』

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読書するたのしさを、毎度教えてくれる友から勧められて読んだ『ハンチバック』。自分では決して選ばなかったであろうこの本の冒頭は性的描写からはじまる。妊娠をし、中絶を味わい、胎児殺しを欲望するゆがんだせむし(ハンチバック)の物語を。

うわっ、エグいなと思いつつも読み進めるれば、どんぶらことその作品の面白さに引き込まれて往く。

ー障害者は性的な存在ではない。

社会がつくったその定義に私は同意した。

自分に都合よく嘘を吐いて同意した。ー

実生活ではうら若く真面目で寡黙な重度障害女性。
反面、下品で幼稚な妄言を憚りなく公開しつづける。

人間になれるチャンスを夢見、人間の尊厳を掴もうと、ありったけの言葉を紡いでいく。このゆがんだ社会で、マチズモ(健常者優位主義)に対する嘆きを言葉に乗せ、せむしは疼く。

マチズモを、これでもかというほどにごっそりと削り取られた。後遺症が残るほどに。

第１２８回文學界新人賞受賞作

第１６９回芥川賞受賞作

【タイトル、著者】『ハンチバック』市川沙央

【出版社】文藝春秋

【出版日】2023/6/30

【税込価格】¥1,430

*店主の読み古しですのでおまけをつけます。

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