本『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』ブレイディ みかこ

あれもみかこ、これもみかこ、そっちもこっちもみかこ、みかこ、みかこ６連発でお届けするブレイディみかこ私小説。

じゃあ、自伝なのかと問われれば、そうではなくフィクションなのである。それでも、短編に登場する人物は著者自身でもあり(ように思う)、著者が底辺から見上げた社会を、長年抱え続けてきた疑問と時に怒りを伴いながら筆圧強く綴る。

ベビーシッター、工場の夜間作業員、ホステス、保育士見習い、社食のまかない作り、ボランティアなどといった人々をヘアする仕事はきつく、低賃金で、働けども働けども報われることのない「シット・ジョブ」。日本にもシット・ジョブは、そこかしこ。

一体いつまでこの状況で働き続ければいいんだよ(怒り)。

このシット・ジョブ社会に、既存の経済概念をぶち壊そうとデヴィッド・グレーバーは、富と権力(ケアされる側)に反発する力(アナキズム論)を『クソどうでもいい仕事 ブルシット・ジョブ』という書で報われない労働者(ケアする側)に希望の道筋を描いた。

シット・ジョブが蔓延るこの社会に労働者自信が社会的地位を回復させて新たな現実を作りだす、グレーバーが予想した変化の流れを英国では感じるようになってきたと著者は語る。

クソどうでもいい社会にこのまま流されていくのか。はたまた、思索のタネを発芽させていくのか。どんな花を咲かせるのかは、読者次第。

今回のみかこ(勝手に呼び捨て)も、たのしいだけではなく、自分の頭で考えろと突きつけられた、次はお前の番だぞと。

最後に一言、パンも薔薇も欲しいものは自分で決める！

【タイトル、著者】『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』ブレイディ みかこ

【出版社】角川書店

【出版日】2023/10/26

【税込価格】¥1,650

【送料】¥370*レターパックライト
(複数購入時の送料は、DMでご相談ください)

【合計金額】¥2,020

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