本『アハメドくんのいのちのリレー』鎌田 實 著　ピーター・バラカン 英訳　安藤 俊彦 画

もう長いこと、心にもやもやとした膜が張り付いて取れずにいる。

出口の見えない紛争の行方について。

この書を読み、「あとがきにかえて」を読んだところで、その膜がするするとどこかへ消失し、霧が晴れていく、そんな感覚に近い。長年探していた答えの尻尾を掴んだかのような。

ピーター・バラカンの帯に書かれた一文もそれを後押ししたと思う。

ー憎しみを排除して、初めて平和が成り立つものです。ー

#イスラエル 兵に殺された息子の臓器を、敵国の病気の子どもたちを救うために差し出した #パレスチナ 人のお父さん。彼の行動や想いを絵本にすることで、多くの人間の中に住むケモノに語りかけ、半世紀以上も続く憎しみの大地に、あたたかさを回転させるきっかけとなったら...と壮大な夢を描き本にした、医師でもありこの著者の 鎌田實さん。

積もり積もった憎しみの大地に、平和を差し出すことがいかに困難か。
でも、だからこそ、ちっぽけでもいいから、そこに波紋を起こす一石となるようにととった行動は、命の重みを知る医師だからこそ描くことができたのかもしれない。

#パレスチナ問題 だけにとどまらず、人間の生き方そのものについて。

どちらかの国を一方的に責めるのではなく、人間の心の中にあるケモノについて、ケモノと共存しながらでも、人間は理解し合えるということを、この書を通して訴えかける。

読者のわたしたちにできることは、あきらめずに、この先もずっとずっと何世代にもわたり、平和のバトンを繋いでいくことなのではないか。憎しみを平和に転換させながら。

小学校での読み聞かせボランティアの選書、次回はこの書を読みます。
知ることからはじめる、平和の種まき。私に、できること。

【タイトル、著者】『アハメドくんのいのちのリレー』鎌田 實 著　ピーター・バラカン 英訳　安藤 俊彦 画

【出版社】集英社

【出版日】2011/8/31

【税込価格】¥1,980


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